本には銅板葺の装飾の例として、装飾部のアップの写真が載っていて、建物全体を写した写真はなかったので、「見落としていたと」言うより、無意識の中で「建物は既に取り壊されて、残っていないのでは?」と思ってしまったのだと思います。
高円寺なら自転車で往復しても1時間ちょっとの距離です。
もしも既に取り壊されていて、無駄足になったとしても、それほど惜しい時間でもないので、サイクリングがてら行ってみることにしました。( この暑さの中なら躊躇しますが、季節は春先のことでした。)

西村屋書店
在りました、ちゃんと残っていたのです。
高円寺の様な住宅街で、これ程の見事な看板建築が在るのは珍しいです。

角地と言うほどではありませんが、向って右側は細い通路に面しているので、側面にも折り返しで1m程度の銅板葺の装飾が施されています。

向って左側が西村屋書店と言う古本屋さん
向って右側は不動産店のようです。
不動産店の方は、テントが無いので、銅板の葺壁が見えてラッキーでした。

軒飾りが左右で斜めにズレている部分がありますが、藤森氏著の「看板建築」の179ページに載っている写真を見て頂くと分かるのですが、青海波の切れ目に、千鳥が居る筈なのです。

残念ながら、肉眼でも確認出来ませんでした。

雨戸があるのに、雨戸の戸袋が無いのが、少し不思議です。

それにしても、見事な銅板葺の装飾です。
石岡で沢山のモルタル造形の看板建築を見てきたので、銅板葺きの看板建築が、ひと際新鮮に見えませんか?

西村屋書店の他にも、月島と川口市にも見落としていた銅板葺の看板建築が在ることが分りました。
取り壊されていないことを祈って、出来るだけ早く見に行来たいと思います。
設計者 / 不詳
竣工年 / 昭和初期
所在地 / 東京都杉並区高円寺南3丁目35−16
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