昔この辺りの設計事務所に少しだけ務めたことがあり、懐かしさもあったのですが、第一京浜は駅前で渡ることはあっても、道沿いを歩いたのは初めてです。
初めて歩く道では、出会いや発見があるものです。

三徳部品 所在地 / 品川区高輪3丁目
旧東海道の様な古くから賑わっていた通り沿いだけではなく、沢山の車の行き交う第一京浜沿いでも、銅板葺の看板建築を見付けました。

遠目には、あまり面白みの無い建物に見えましたが、近くに在った歩道橋で第一京浜を渡り、近くへ行ってみました。


ほとんどの看板建築は道路側の正面にだけ、角地に建つものでも道路に面した2面にだけが銅板葺ですが、この建物は3面が道路に面しているので、3面に銅板が葺かれています。
戸袋飾りも3面とも葺き方を変えている凝りようです。

麻の葉紋様

青海波紋様
どちらの紋様も細工が細かくて綺麗です。
裏側は少々大胆な紋様ですが

菱葺と亀甲紋様の合せ技で、手を抜いている様子はありません。

外壁の立ち上がり部分は桧垣紋様で、他には特装別な飾はありません。
偶然見付けたと思っていましたが、藤森照信さん著の「看板建築」に載っていることに気が付きました。
ただ、僕の第一印象と同様に、面白みの無い平凡な建物と言う扱いで「狭い敷地いっぱいに四角い箱を建て上げ、表面に銅板を張ればそれでもう看板建築の誕生。こうした安易な看板建築の造られ方は西部開拓時代の建物にも共通する。」とやや厳しい評価です。
きっと藤森さんが看板建築を調べ出した頃には、優れたデザインの看板建築が、まだ東京の彼方此方に、沢山残っていたのだと思います。
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