
カヤバ珈琲
1階 ・ 2階 共に道路に向かって腕木を出して桁を載せた、寄棟の出桁造り。
旧町名の谷中町の角に建つこの建物は、 建設当時から地域のランドマーク的存在で、平成11年台東区景観コンクールまちかど賞を受賞しています。

設計者 / 不詳
竣工年 / 1930年 ( 大正5年 )
所在地 / 東京都台東区谷中6-1-29
建設当初はミルクホール・あんみつ店などでしたが、昭和13年からカヤバ珈琲となり、永く地域に親しまれましたが、平成18年には閉店となります。
その後、 NPO法人たいとう歴史都市研究会が借り受け、平成20年に、新たにカヤバ珈琲が復活させました。

谷中近辺の出し桁造りの建物は、出し桁の木材が太いような気がします。
カヤバ珈琲とは通りを挟んだ隣には

下町風俗資料館付設展示場 ( 旧吉田屋酒店 )
この建物は、谷中6丁目で江戸時代から代々酒屋を営んでいた吉田屋の建物を現在地に移築し、下町風俗資料館付設展示場として利用しています。

正面入口には板戸と格子の揚戸(あげと)が設けられています。
カヤバ珈琲も、建設当時は格子の揚戸で開口を広くとった造りでしたが、昭和13年に珈琲店になってからは、入り口を洋風の扉として、照明入りの看板、窓、花壇などを配した、昭和の喫茶店らしいデザインとなりました。

切妻と寄棟造りの違いはあるものの、カヤバ珈琲と同じ出し桁造り。
1階の出し桁は、腕木が二段になっています。 小田原近辺の出桁造りも、腕木が二段でした。
上記した格子の揚戸と共に、江戸から明治期の商家建築の特徴を示しています。
設計者 / 不詳
竣工年 / 1910年 ( 明治43年 )
所在地 / 台東区上野桜木2-10-6

屋内には、秤・漏斗(じょうご)・枡・樽・徳利・宣伝用ポスターや看板など酒類の販売に用いる道具や商いに関する資料が展示されています。
カヤバ珈琲と下町風俗資料館付設展示場の在る交差点を渡り、三崎坂方面へ数軒入った場所にも

谷中岡埜榮泉
谷中岡埜榮泉は明治33年創業で「豆大福」と「浮草」が主力商品。
岡埜栄泉の屋号は江戸時代から続くもので、暖簾分けされたものだそうです。
戦争当時、空襲の噂が絶えなかった谷中町は、空襲の被害が少ないようにと、警察署が辺り周辺を更地にしてしまい、 谷中岡埜榮泉もシンボルとなる看板を残して取り壊されたようです。
現在の建物は、戦後すぐに現在の店主の先々代が、深川から木材を集めて建て直したもので、 台東区の「まちかど賞」を受賞しています。
設計者 / 不詳
竣工年 / 昭和20年台
所在地 / 東京都台東区谷中6-1-26
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