長い階段と坂道を息を切らして登ってやっとたどり着いたジャニコロの丘の頂上に、その教会は在りました。

サン・ピエトロ・イン・モントリオ教会
ルネサンス期の建物らしいシンプルなデザインのこの教会は、 9世紀頃に建てられたものを、15世紀後半にスペイン王フェルナンド2世と 王妃イザベラによって建て直されたものです。

ここからはローマ市街を一望することが出来ます。
テンピエットは教会内に幾つか在る、中庭の一つにひっそりと建っていました。

小さくてシンメトリー、よくあるデザインに見えても、滲み出る気品と美しさを感じさせずにはおかない、この宝石箱のような殉教者記念礼拝堂は、セント・ポール大聖堂やサン・ピエトロ大聖堂までも、このもテンピエットを参考にして建設されたと言われています。
そもそも設計者のブラマンテは、サン・ピエトロ大聖堂の設計者でもあり、彼の死後、ラファエロへと引き継がれ、ミケランジェロが大クーポラを完成させたのです。

パンティオンのミニチアを思わせるドームは、天空を思わせるブルーに塗られています。

聖ペテロの殉教の地と伝えられる場所に建てられたこの建物は、ルネサンス建築の中で最も調和の取れた建築の一つと言われ、西洋建築史の本には必ず登場するブラマンテの傑作です。

細かい大理石貼りのモザイクの床のなんとも美しいこと。

ドーリア式の16本の柱が支えるエンタブラチュアの上の円盤状の床には、手摺が付いてバルコニーになっていますが、バルコニーに登れる階段は見当たりません。

テンピエットはブラマンテによって、古代ローマ建築の荘厳さと精密さを蘇らせた、完璧なプロポーションをもつ建築と言えそうです。

外部から後ろにまわると階段があり、階段を降りると地下にはこんな空間が在ります。
一般的には、聖ペテロは当時はカリギュラとネロの円形競技場であり、現在はサン・ピエトロ大聖堂の建つ地で処刑されたと伝えられていますが、ペテロが殉教した場所は、本当はこの床の中心、大理石の黒い円の部分だと言うことらしいのです。
真偽のほどは私には分かりませんが、大理石の床の美しさは理解できます。
設計者 / ドナト・ブラマンテ
竣工年 / 1502年
所在地 / サン・ピエトロ・イン・モントリオ教会の中庭
ちょうどミサが終わったので、サン・ピエトロ・イン・モントリオ教会の聖堂内も見学することが出来ました。

シンプルな外観とは異なり、色遣いに派手さは少ないものの、聖堂内に隙間なく施された彫刻が美しい教会です。


聖堂内の礼拝堂は、16世紀〜17世紀の巨匠たちの彫刻やフレスコ画等、数々の美術作品で装飾されています。

1640年頃の作と言われる 「聖フランチェスコの法悦」

他にも、幾つもの巨匠達の描いたフレスコ画を見ることが出来ます。

テンピエットが在る中庭、以外の中庭

※ この記事内の説明文は 「Wikipedia」 を参照しています。
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