元々絵画にそれ程興味が有った訳ではないのですが、今回のイタリア旅行で、各都市の世界屈指の美術館で絵画や彫刻の芸術品に触れ、この歳になって絵画にも興味を持つようになったのです。
カラバッチョ展チケットは、4月には手に入れていたのですが、混雑しているとの報道が有り、しばらく様子を見ている間に、国立西洋美術館が世界遺産に登録されると言うニュースが飛び込んできました。
ただでさえ人気のカラバッチョ展に美術館の世界遺産登録が重なってしまったので、混雑が予想される週末の訪館は諦め、平日の午後に出掛けた訳です。

国立西洋美術館
本館の設計はル・コルビジエが、弟子の前川國男、坂倉準三、吉阪隆正が実施設計と監理を行ったと言われていますが、実際にコルビジェはコンセプトやスケッチを提示しただけなので、前川、坂倉、吉阪の弟子達の共同作品と言えるのではないでしょうか?
新館は前川國男が設計しています。



基本設計者 / ル・コルビジェ
実施設計社 / 前川國男、坂倉準三、吉阪隆正
竣工年 / 1959年 ( 本館 )、1979年 ( 新館 )
所在地 / 東京都台東区上野公園7番7号
世界文化遺産に登録 国立西洋美術館を含む7か国17資産で構成される「ル・コルビュジエの建築作品」として登録 ( 2016・5・17 )
重要文化財指定 築50年以内の建物としては初めての指定 ( 2007・12・21 )
世界遺産ファンてである私の個人的な感想としては、この建物が世界遺産に登録される程の建物とは思えません。
外観にコルビジェらしさはあまり感じられず、コルビジェが描いたコンセプトも実現出来ていないと思います。
世界遺産の登録基準は、もっとハードルを高くしてもいいのではないでしょうか?
商業主義に陥っているとしか思えません。

平日の午後と言うことで混雑はなく、すんなりと入館することが出来ました。
カラバッチョ展を見終わって喫茶室で一休み

喫茶室から中庭越しに新館を見る。


カラバッチョ展のチケットで見ることが出来たので、常設展示も見てきました。


美術館の中心部で吹き抜けとなったホールは、コルビュジエによって「19世紀ホール」と命名され、ロダンの彫刻が展示されています。

ホールにはトップライトからが自然光が降り注ぎます。



2階の常設展示室へは、ホールに展示されたロダン彫刻を見ながら、ジグザグにスロープを上がって行きます。


2階は中央の吹抜けのホールを囲むように常設展示室が配されています。
回廊状の展示方法は、コルビジエによる「無限成長建築」というコンセプトに基づくもので、将来拡張が必要となった際に、外側へと建物を継ぎ足していける構造です。
本館正面に向かって右側にある外階段は、本来出口として設計されたものですが、立入禁止になったまま、一度も使用されていません。
写真の天井高が低くなっている部分は、自然光を取り入れ、明りを調整する為に設置されたものでしたが、現在では蛍光灯を使用しています。

コンセプトには企画倒れのものが多いものの、デザインでは見るべきものが沢山あります。


だだし、コルビジェの作品に見られる、コンクリート打ち放しによる荒々しい彫刻のようなものではなく、いかにも日本的な肌理細かく施工された肌合いのコンクリートによるものです。

コンクリート打ち放しの円柱のアップ

新館から中庭越しに本館を見る。
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