僕は新婚当時のサラリーマン時代に、川越の近くの上福岡に住んでいた事があり、長女も川越の病院で生まれたので、川越は懐かしく、思い出の有るところなのです。

川越には洋風建築や看板建築が多く残っていますが、この田中屋仲町店(旧桜井商店)のデザインは特に重厚で、「近代建築散策」によると、竣工も1915年なので、本来震災復興期の建築である、看板建築の範疇から、外れるのかも知れません。
しかし、2階部分の3連のアーチ窓や、イオニア式の2本の付柱は、一見本格的なものに見えますが、柱の縦溝が途中で無くなっていたり、エンタプチャ(柱と屋根の間の梁の部分)ーがコーニス(軒蛇腹)だけに省略され、柱頭部分が直接コーニスのデンティル(歯飾り)を支えていたり、屋根から分離したペディメントのデザインもユニークで、可愛らしくさえ感じます。

1階部分の付柱のデザインは、どことなく和風な感じで、石灯籠のようにも見えますね。

決まり事に囚われない、この自由なデザインを見ると、やはり田中屋は看板建築だと思いたくなります。

隣にも、イオニア式の列柱のある、3階建ての建物が在ります。
こちらはイオニア式のオーダーに近く、柱が3つの水平帯に分かれたアーキトレーブを支えています。
「近代建築散策」によると、この建物は旧山吉デパートで設計者は保岡勝也、竣工は1936年です。
構造も鉄筋コンクリート造と言う事なので、やはり看板建築の範疇からは外れています。

旧山吉デパートは、この時、既に使われている様子はなかったので、今も残っているか心配です。

この建物のオレンジ色の壁面は、後から吹付けたものではないでしょうか?
3階のバルコニーの腰壁や屋根のデザインが面白い建物です。

この建物には、目立った装飾はありませんが、シンプルなデザインの銅板葺きの看板建築とは言えるでしょう。


この写真は20年近く前の写真で、喜多院の近くの建物です。
とても面白いデザインの建物で、特に3階部分のデザインは、洋風なのか和風なのか、それとも東洋風?
パプ・スナック零は残念ながら、3年前には見つけられませんでした。たぶん、取り壊されたのだと思います。
川越には、まだ沢山の看板建築や洋風建築が今も残っているはずです。
勿論、有名な時の鐘や喜多院、蔵の街並みも在るので、近いうちに、また建物を探訪しに行きたいと思います。
この写真はおまけの写真です。

この建物は原宿と渋谷の間の、明治通り沿いで見つけました。
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