耐震性に問題も有ったようですが、築40~50年の名建築が次々と取り壊されている中、村野藤吾氏の代表作の一つである千代田生命本社ビルが取り壊されずに済んだ事に対して、目黒区の英断に拍手を送りたいと思います。
また区役所になってくれたおかげで、見学する機会はないと思っていた内部、特にエントランスホールや階段を間近で体験する事が出来たのは幸運でした。
旧千代田生命本社ビルの竣工は1966年です。
まずは外観から

外観の特徴はなんと言っても建物全体を覆うように設置された、アルキャストの面格子のように見える方立てです。

エントランスの巨大な車寄せの庇も目を引きます。
エントランス内部は更に驚きです。


テニスコートがすっぽり入ってしまうような大理石張りの空間です。 いつもの事ながら保険会社の資金力には驚かされます。
何も無い白い空間に有るものといえば


(左)窓際のオブジェの詳細。
(右)天井の楕円の穴を覗くと、トップライトになっていました。

オブジェの壁と反対側の壁際には、大理石張りの柱が並び、足元には水が張られています。
エントランスホールを通り過ぎると、今度はこの階段が待っています。

村野さんの建物には色々な見所が用意されていますが、内部では階段が特に見ものです。
数々の美しい階段を設計してきた村野さんですが、この階段が最高傑作だと思います。


敷地には高低差があり、建物は池を取り囲むように配置されています。

アルキャストの方立ては、建物に陰影を与えると共に、日除けのルーバーの役割もあるのでしょう
でも何より建物を美しく見せる効果が一番かも知れません。



目黒区役所新庁舎は、何所から見ても絵になる建物でした。
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