さくら通りには藤森照信さん著の「看板建築」の中でバラック建築の華と紹介されている東洋キネマの在った通りで、かつては銅板張りの看板建築が建ち並んでいました。

専大通りとの交差点に面する、このうなぎ屋今荘も藤森さんの「看板建築」で紹介されています。

神田神保町3丁目-15
同書では、今荘について「看板建築というか普通の建築というか中間的なものだ。看板建築で和風の屋根を取り入れようとすると、壁面に軒が突き出して看板建築でにくなってしまう。」と記載されています。
ついでになりますが、以前に一度紹介している建物も、さくら通り繋がりと言うことで載せておきます。

今荘とは専大通りを挟んだ向い側の神田神保町2丁目-23に在る中華そば成光は角地に建つモルタル塗装飾の看板建築。
軒の歯飾りがなかなか見事です。

神田神保町2丁目-19には、木造の看板建築だけでなく、昭和レトロを感じさせてくれる本格的なビルも残っています。
近代建築散歩によると、このビルは旧相互無尽会社で、最近までわかしお銀行別館として使用されていたそうです。
設計者は不明。竣工は1930年(昭和5年)。
一方松葉一清著の「帝都復興せり」によると、旧相互無尽会社は安藤組の設計と記されていました。
この写真は数年前のもので、外壁は補修がずさんで酷い状態ですが、現在では壁は綺麗に改修され、エントランス扉も取り換えられています。
勿論、旧相互無尽会社のように、綺麗に改修されて、生きながらえる事の出来る建物はわずかで、殆どの建物はどんどん建て替えられているのが現実です。

さくら通りの外れで、数年前までは現役の歯科医院として使われていた、この可愛らしいデザインの春原歯科医院はいつの間にか取り壊されていました。
近代建築散歩にも設計者の記載はありませんが、竣工は1928年と記されています。
昭和レトロどころか、大正15年の建物だったのです。
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